例数が逆算できたので、Day1〜Day4について一般的な解析をしてみました。
以上のように、全てのDayとその合計度数について代表的な評価指標――出現率の差(陽性率の差)=リスク差、リスク比、オッズ比――に関する推定と検定を行いました。 ただしプロトコールで規定された主要評価項目はDay4の陽性率の差なので、Day4の出現率の差の推定結果と検定結果だけが本来の目的であり、Day1〜Day3と合計度数の解析は参考までに行ったものです。
陽性率の差についてはFisherの正確検定とχ2検定を適用してあります。 ただしχ2検定はFisherの正確検定(両側p)の近似検定なので、Fisherの正確検定の結果の方が「正確」です。 また「Mantel-Haenzel検定」はDay1〜Day4の陽性率の推移を解析するための手法です。 これは、プロトコールで副次評価項目として規定された「Day1〜Day4の陽性率の推移」を解析するためのものです。 Mantel-Haenzel検定については次節で詳しく説明するつもりです。
主要評価項目であるDay4の出現率の差については、Fisherの正確検定(両側p)でもχ2検定(修正有)でも検定結果は有意水準5%で有意ではありません。 でも「※不正確な検定結果(R等)」と題した不正確なχ2検定(修正無)なら検定結果は有意水準5%でギリギリ有意になり、前節で説明した最初の研究成果公表案のp値(p=0.030)と一致します。 また不正確なFisherの正確検定でも検定結果は有意水準5%でギリギリ有意になります。
なお不正確なFisherの正確検定については、当館の「統計学入門 1.6統計的仮説検定の考え方 (注3)」を参照してください。 既存の統計ソフトの中にはこの不正確な計算方法を用いているもの(R等)があるので、データ解析屋としては早急に訂正して欲しいと思っています。(~_~;)