手に入れた資料の中からプロトコール(試験実施計画書)部分だけ抜き出してPDFファイルにしました。 そのPDFファイルにリンクを張っておきますから、プロトコールを読みたい方はPDFファイルをダウンロードしてください。 プロトコールの表紙には次のように記載されています。
上記のように、この研究の正式名は「SARS-CoV2 感染無症状・軽症患者におけるウイルス量低減効果の検討を目的としたポビドンヨード含嗽の非盲検ランダム化臨床研究」です。 でも試験デザインを見ると、実際には「うがいの効果+ポビドンヨードの効果により、唾液を用いたRT-PCR検査の結果が陰性――真陰性(体内からウイルスが消失した状態)と偽陰性(体内からウイルスは消失していないが、検体として採取した唾液の中からは消失した状態)の両方――になることを検討するための臨床研究」というところです。
そして前節で紹介した最初の研究成果公表案の内容を読むと、本研究は本格的な検証研究の前段階として実施する探索研究という位置付けのようです。 そうでなければ、このような曖昧なデザインの研究を大阪はびきの医療センターの試験審査委員会(IRB、Institution Review Board)が許可するはずがないと思います。
それからプロトコールを見ると、黒塗りされたところがけっこうあるので驚きました。 プロトコールは試験審査委員会で科学的・倫理的に検討され、許可された公明正大な資料です。 そのため普通は関係者の個人情報や特定の商品名等の情報以外は堂々と公表できるはずです。 ところがこのプロトコールを見ると研究デザインの根幹に関わるところ――例えば観察・検査スケジュール、統計解析に関する事項等――が黒塗りされています。 これはプロトコールの黒塗り部分が科学的・倫理的にヤバイ内容(^^;)か、それとも何らかの理由で試験がプロトコール通りに実施されず、それがバレてしまうことを危惧したからではないかと思います。