玄関小説とエッセイの部屋小説コーナー不思議の国のマトモな事件

伴人  「ミミちゃん、ミミちゃん! 起きなよ、ミミちゃん!」

ミミ  「んー……、ミッシェル…ミッシェル……、んー……」

伴人  「早くしないと講義が始まっちゃうよ。 ミミちゃん、起きなったらっ!!」

ミミ  「んー……、ミッ…シェ…ル…!?」

ミミが薄目を開けると、枕許で伴人がミミの顔を覗き込んでいる。 驚いたミミ、ハッと目を開けてキョトキョトとあたりを見回す。 そこはミミの下宿。 畳にウサギ穴はない。

伴人  「(心配そうに)どうしたの、ミミちゃん……?」

ミミ  「(ぼんやりと)……ああ、伴ちゃん。 ……やっぱ、夢だったのね……」

伴人  「よっぽど悪い夢だったみたいだね、ひどくうなされてたよ」

ミミ  「あー、よかったァ! どーも変だと思ったのよねー、あたしも……」

ミミ、含み笑いをして、

ミミ  「フフ、そーよねー、伴ちゃんがあんなねー……、そんなはずないもんねー……、ウフッ、ウフフフフッ、アッハハハハーッ!」

と、カラカラと笑い出す。

伴人  「……ヘンなの。 いい夢だったの、ほんとは?」

ミミ  「(笑いむせびながら)あー、おっかしーッ! ……アハッ、それがね伴ちゃん、ヘンテコな夢でね。 チョッキ着た白ウサギがあたし連れに来てね、フフッ……」

伴人  「チョッキ着た白ウサギ……? 何だい、それは?」

ミミ  「おっかしーでしょー? ヘンなカッコしてたのよ、そのウサちゃんったら。 何てったらいーか、こう……」

伴人  「もしかしたら、こんなカッコしてたんじゃない? ミミちゃん……」

伴人、スウーッと白ウサギに変身する。

ミミ  「キ、キャーッ!!」

ミミ、悲鳴を上げて気絶。

白ウサギ、ミミを揺り起こしながら、

白ウサギ「さあさあ、起きた、起きた! 呑気に昼寝なんかしてないで、急げ急げ!」

そして、また最初の場面に戻って…………