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○プロトコル(protocol)

コンピュータを利用して情報通信を行う場合の、色々な手順や約束事を取り決めた通信規約のことで、通信機器同士がデータの送受信を行うためのコミュニケーション用言語に相当します。 人間の世界に色々な言語があるように、コンピュータ通信の世界にもTCP/IPEthernetなど各種のプロトコルがあります。

中でも、コミュニケーションの欠如により、南極に置き去りにされた2匹のカラフト犬プロとコルが、互いのコミュニケーションを密にすることによって厳しい冬を生き延び、翌年の第2次南極探検隊によって無事救出されるという感動作「プロとコル」は、コミュニケーションの大切さを訴えた不朽の名作として広く知られています。 また「プロとコル」の元となった試作「プロとタイプ」や、洋風茶碗蒸しと西洋蟹との悲恋を描き、シール写真の流行を鋭く告発した問題作「プリンとクラブ」も、傑作と呼び声の高い作品です。

○パケット(packet)

データ全体を一定の大きさに分割したデータ単位のことで、データ通信の精度を上げるために考え出されたものです。 各パケットには発信元や転送先、さらにパケットの順番などの情報が付加されていて、複数の回線を通して異なったタイミングでばらばらに転送され、転送先で元の情報に再構成されます。

パケットと似たものに、データを小さな紙切れにして転送するチケット、衣服に入れて転送するポケット、宇宙に転送するロケット、ボールに入れネットをはさんで打ち合うラケット、籠に入れて転送するバスケット、二度焼いて保存食としたビスケット、礼儀正しいエチケット、ゴドーを待っているベケットなどがあります。

○セグメント(segment)

Ethernetにおけるターミネーター(終端抵抗)からターミネーターまでの配線区画のことで、LANの基本単位となります。 例えば10BASE-5では、1セグメントあたりの最大長は500m、ノード数は100台以内、アースは1つなどと、LANの種類によってセグメントを単位とした色々な制約があります。

ターミネーターとはLANケーブルの終端に付ける50Ω(オーム)の抵抗のことで、ケーブルの終端で信号が反射されたり、歪められたりするのを防ぐためのものです。

これと同じようなものにSCSIインターフェイスにおけるターミネーターがありますが、中には都合の悪い人物を抹殺するために、その人物が生まれる前の過去に戻って、その人物の親となる人物を抹殺する為に用いられる特殊なものもあります。 もっともその種のターミネーターは、素材の人気が高まることにより、過去の人物を抹殺する目的ではなく救助する目的で使われるという、かなりご都合主義な使い回しをされることも多いようです。

○Ethernet(イーサネット、IEEE802.3 CSMA/CD)

LAN第1層物理層(と第2層データリンク層のMAC層)における世界標準プロトコルで、LANの標準化を推進しているIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、アイトリプルイー、アメリカ電気・電子技術者協会)802委員会が制定した、「IEEE802.3 CSMA/CD標準」とほぼ同じものです。

Ethernetはアメリカ・ゼロックス社のPARC(Palo Alto Research Center、パーク)にあるコンピュータ研究所の、ロバート・メトカフ博士(Robert M. Metcalfe)によって1973年に発明され、電磁波を伝播する仮想的な媒体として有名な「Ether(エーテル)」と、「Network」から命名されました。 このため昔のLAN関係の文献にはEthernetのことを「エーテルネット」と訳しているものもありましたが、現在はオリジナルのアルファベット表記が一般化しています。

Ethernetは1982年に今日普及している「Ethernet 2.0版」となり、これをベースとして1983年に「IEEE802.3 CSMA/CD標準」が制定されました。 このためEthernetとIEEE802.3CSMA/CD標準はほぼ同じ内容であり、普通は語呂の良いEthernetという用語の方が多用されます。

ちなみにPARCのコンピュータ研究所は、ワークステーションの原形である「Altoマシン」の開発や、ノート型パソコンの原形である「Dynabook(ダイナブック)」の提唱でも有名です。

○10BASE-5(テンベースファイブ、Thick Ethernet)、10BASE-2(テンベースツー、Thin Ethernet)、10BASE-T(テンベースティー、ツイストペアEthernet)
種類伝送速度
(Mbps)
最大伝送距離
(m/segment)
ケーブルコネクタトポロジー
10BASE-510500標準同軸N型コネクタバス
10BASE-210185細心同軸BNC型コネクタバス
10BASE-T10100ツイストペア8心モジュラスター

Ethernet(IEEE802.3 CSMA/CD)に使われるLANケーブルの接続方法を規定した代表的な規格で、左表のような仕様になっています。

この他にも1本の安打で一挙に2塁まで進む「2BASE-Hit」、同じく3塁まで進む「3BASE-Hit」、塁を3つしか使わない「サンカクBASE-Ball」などもありますが、これらは日本特有の和製英語的呼称なので、最近は「BASE-Ball Triangle」のように、Ballを先にコールする、本来のアメリカ式呼称に改めようという動きが出てきています。

・10BASE-5(テンベースファイブ、Thick Ethernet)

直径約10mmの標準同軸ケーブルを用いた、伝送速度10Mbps(10メガビット/秒)、1セグメントあたりの最大伝送距離500mの、バス型トポロジーを用いたLANケーブルの接続規格です。 ケーブルが太く、ノイズに強くて信頼性が高い反面、工事が多少しにくいという特徴があります。 「10BASE-5」の最初の「10」は伝送速度(Mbps単位)を、最後の「5」は伝送距離(100m単位)を表します。

・10BASE-2(テンベースツー、Thin Ethernet)

直径約5mmの細心同軸ケーブルを用いた、伝送速度10Mbps、1セグメントあたりの最大伝送距離185mの、バス型トポロジーを用いたlanケーブルの接続規格です。 10BASE-5よりもケーブルが細いぶんだけ伝送距離が短くなりますが、ケーブルは扱いやすくなっています。

・10BASE-T(テンベースティー、ツイストペアEthernet)

2対の電線を1本にまとめたツイストペアケーブルを用いた、伝送速度10Mbps、1セグメントあたりの最大伝送距離100mの、スター型トポロジーを用いたLANケーブルの接続規格です。 信頼性は多少落ちますが、工事がしやすくて安価という特徴があります。 「10BASE-T」の「T」は、「T-Back」ではなく「Twisted Pair(より対線)」を表します。

○TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、ティーシーピー/アイピー)

LAN第4層トランスポート層と第3層ネットワーク層における、ワークステーション業界標準プロトコルセットで、インターネットの普及により事実上の世界標準プロトコルセットになりつつあります。

TCP/IPはDOD(Department Of Defence、アメリカ国防総省)の(D)ARPAnet(Defence Advanced Research Projects Agency Network、アーパネット、アメリカ国防総省高等研究プロジェクト局ネットワーク)のために開発されたプロトコルセットで、このARPAnetを母体としてインターネットが作られましたので、インターネットでもTCP/IPがそのまま使用されています。 TCP/IPを利用したアプリケーションには、簡易電子メール転送プロトコルのSMTP、ドメイン名サービスを行うDNS、ファイル転送プロトコルのFTP、仮想端末機能を提供するtelnetなどがあります。

○NetBEUI(NetBIOS Extended User Interface、ネットビュー)

MS-Networks、LAN-Manager、WindowsNT、Windows for WorkGroups、そしてWindows95など、Microsoftのネットワーク関連製品で使用されているネットワークプロトコルで、1985年にIBMによって開発されました。

NetBEUIはNetBIOS(Network Basic Input Output System、ネットバイオス)をベースにして拡張されたもので、第3層ネットワーク層から第5層セッション層の一部までに対応し、UNIXネットワークにおけるTCP/IPにほぼ相当します。 しかしTCP/IPと違ってルーティング機能を持たないため、大規模のLANには向かず、20〜200台程度の小規模で閉じたLANに向いています。 また通信に先立ち、ブロードキャスト(LANケーブル上の全ノードを対象とする通信)を使って通信先のノードを見つけたり、自分のノード名を他のノードに知らせたりするため、ネットワークの通信量(トラフィック)を増やしがちです。

それらの欠点を補修するために考えられた手法が、NetBEUIパケットにTCP/IPのヘッダを付加してカプセル化し、TCP/IPパケットとして通信する「NBT(NetBIOS over TCP/IP、エヌビーティー)」です。 NBTはオーバーヘッドが多いためNetBEUIよりも低速ですが、TCP/IPのルーティング機能を使って、ルーターを越えた別のLANにもNetBEUIパケットを転送することができます。 WindowsNTやWindows95のMicrosoftネットワークにおいてプロトコルとしてTCP/IPを選択した場合は、このNBTが利用されます。

NBTと同様の手法に、NetOTOKOに女性ハンドル名と女言葉の書き込みを付加してカプセル化し、NetONNAとして通信する「NetOKAMA」という手法があります。 NetOKAMAは相手の頭に血が上り、オーバーヘッドになりやすいのであまり推奨されていませんが、一度やったら病みつきになるものらしく、某草の根ネットには、構成員全員がNetOKAMAであり、れっきとしたNetONNAまでNetOKAMAになってしまった幻のボードがかつては存在したという噂があります。

○SMB(Server Message Block、エスエムビー)

Microsoftネットワークにおける第7層アプリケーション層部分のプロトコルの総称で、具体的にはファイルやプリンターの共有サービス、ユーザー認証サービス、メッセージ転送サービスなどがあります。

SMBは下位層にNetBEUIを用いているためルーティングができず、中〜大規模なネットワークには向きません。 ただし、NBT(NetBIOS over TCP/IP)を用いればルーティングはできますが、本質的には小規模ネットワーク向けに設計されたプロトコルといえます。 NetBEUIとSMBの関係は、UNIXネットワークにおけるTCP/IPDNSFTPなどの関係に相当します。

○ルーティング(routing)

ネットワーク番号が異なるセグメント間でパケットを交換することで、ネットワーク層でのパケット転送ととらえることもできます。

ルーティング

ルーティングには、あらかじめ指定されたルートを通ってパケットを転送するスタティックルーティングと、最適化されたルートを自動的に選択してパケットを転送するダイナミックルーティングとがあります。 ルーティングはルータによって行われますが、パケットにネットワーク番号を付加するIPやIPXのパケットでなければ、ルーティングの対象にはなりません。