付録9 参考書
(1) 医学・薬学関係
- 「薬効評価」佐久間昭著、東京大学出版会、I:1977年、II:1981年発行
日本における臨床薬理学の第一人者による薬効評価と生物検定法の解説書です。
著者の博学な知識を反映して非常に広範囲かつ高度な内容です。
特に統計手法に詳しく、医学・薬学における主な解析手法について原理から詳しく解説されているので、医学・薬学研究に携わる者にとって必読の書といっても過言ではないでしょう。
- 「医学統計学ハンドブック」宮原英夫・丹後俊郎編、朝倉書店、1995年発行
医学統計学分野で活躍している新進・中堅の研究者が分担執筆した、医学統計学のハンドブックです。
医学統計学分野で利用される解析手法がほとんど全て網羅されているだけでなく、動物実験、臨床試験、疫学調査、臨床検査などの関連分野の知識も幅広く解説されているので、医学統計統計学を利用する研究者にとっては非常にありがたい本です。
- 「医学における統計的推理」D. メインランド著、増山元三郎監修、柏木力・高橋晄正共訳、東京大学出版会、1962年発行
統計学の数学的技術ではなく基本的な思想や論理について述べられており、統計学的観点から見た医学研究一般の心得といった感じのユニークで優れた本です。
統計学は実験器具や試薬と同じように医学的着想を生かすための道具である、ということを本書は教えてくれます。
- 「医学・生物学のための推計学(増訂版)」鳥居敏雄・高橋晄正・土肥一郎共著、東京大学出版会、1957年発行
医学・生物学への応用を主眼として推計学を解説した、我が国における医学統計解説書の草分け的な本です。
今日では少し古臭い感じがしないでもありませんが、医学研究における推計学と実験計画法の応用について詳しく解説されています。
- 「治療効果判定のための実用統計学(改訂版)」富永祐民、蟹書房、1982年発行
主として臨床試験と公衆衛生学に応用される生命表解析について詳しく述べられています。
生命表解析は生死を対象とした長期間におよぶ試験データの解析にはなくてはならないものですが、脱落例を考慮した統計手法として、一部の研究者だけでなくもっと広く知られてもよい手法だと思います。
- 「生存時間解析」大橋靖雄・浜田知久馬著、東京大学出版会、1995年発行
近年、注目を集めていてるコックスの重回帰型生命表解析を中心にして、多変量生命表解析の理論的基礎から統計解析システムSASを利用した実際の解析方法までを解説しています。
「治療効果判定のための実用統計学(改訂版)」は発行が古いだけに、多変量生命表解析については概略的な解説しかしてありません。
そのため多変量生命表解析について詳しく知りたい方には本書をお勧めします。
- 「最新臨床薬理学」鈴木哲哉編、MRC(メディカルリサーチセンター)、1978年発行
臨床薬理学とは、薬理学の原理を踏まえて、臨床における薬物の理論と実際について研究する学問です。
臨床薬理学の歴史は古いものの、学問として確立したのは新しく、日本では1980年に臨床薬理学会が発足しました。
本書は臨床薬理学全般についての解説書であり、特に二重盲検法による臨床試験について詳しく説明されています。
- 「統計学を拓いた異才たち」デイヴッド・サルツブルグ著、竹内惠行・熊谷悦生共訳、日本経済新聞社、2006年発行
現代統計学が発展していく過程を、ピアソン、フィッシャー等の著名な統計学者のエピソードを中心にして解説した統計学史兼人物伝です。
コンセプトが似ているせいか、ベルの名著「数学をつくた人々」を連想させる邦題になっていますが、原題は「The Lady Tasting Tea」という、コアな統計学ファンならば思わずニヤリとするしゃれたものです。
内容の面白さに加えて、著者の経歴に自分と似ているところがあるので強い共感を覚えながら一気呵成に読んでしまいました。
統計学に多少なりとも興味を持っている人には是非お勧めしたい本です。
- 「統計学入門 ——あなたにも統計学がわかる!……かもしれない——」四条伴人著、ウェブサイト「我楽多頓陳館」にてオンライン連載中、2003年〜
全編これ逆説と冗談のかたまりといった感があり、「医学・薬学研究者のため」と題しながら、医学的でも薬学的でもなく、むしろ異学的かつ厄学的です。
唯一の取柄は充実した参考書ですが、それぞれの本に付けられた独断と偏見に満ちた解説はあまり信用しない方が良いでしょう。
- 「医学・薬学分野で役立つ統計学の基礎 推定を中心にした統計手法の理論と実践」杉本典夫著、プレアデス出版、2015年発行
「統計学入門 ——あなたにも統計学がわかる!……かもしれない——」の著者が、本名で書いた一般向け統計学入門書です。
「統計学入門 ——あなたにも統計学がわかる!……かもしれない——」からギャグと毒が抜いてあるのでユニークさに欠けるうらみはありますが、その分だけ口当たりの良い一般向けの本になっています。
- 「医学・薬学・生命科学を学ぶ人のための多変量解析入門」杉本典夫著、プレアデス出版、2009年発行
「医学・薬学・生命科学を学ぶ人のための統計学入門」の姉妹本であり、一般向け多変量解析入門書です。
姉妹本だけあって、「統計学入門」と全く同じ特徴を持っています。
(2) 数学関係
- 「推計学のすすめ」佐藤信著、講談社ブルーバックス、1968年発行
推計学の基本概念を一般人向けになるべく数式を使わないでやさしく解説しています。
著者は数学の専門家ではなく現場で統計学を利用している研究者なので、その解説は具体的でわかりやすく、統計学への入門書として最適です。
- 「研究者のための統計的方法」R. A. フィッシャー著、遠藤健児・鍋谷清治共訳、森北出版、1970年発行
推計学の開拓者による「推計学の聖典」といわれる名著ですが、何しろ難解です。
フィッシャーは視力が弱くて問題を頭の中だけで解くことを訓練したので、論文もあまり数式は用いずに観念的に書かれることが多く難解だったということです。
彼の考えた推計学というものを理解したい人は、ぜひ頑張って読解してください。
- 「統計的方法」G. W. スネデカー・W. G. コクラン共著、畑村又好/奥野忠一/津村善郎共訳、岩波書店、1972年発行
統計学の代表的な教科書です。
論文などで統計学に関する参考文献を挙げるとしたら、本書を挙げておくと良いでしょう。
英語論文の場合は、この本の原著を挙げておけば査読者に文句をいわれることはほとんどないと思います。
- 「統計分布ハンドブック 増補版」蓑谷千凰彦著、朝倉書店、2010年発行
統計学で利用される代表的な確率分布と、その特性を詳細に解説したハンドブックです。
統計学の観点からまとめた数学の基礎的事項や、統計学の基本的概念なども解説してあり、統計学を数理的に理解できるように配慮されています。
付録1の各種の確率分布の説明だけでは物足らない人には本書をお薦めします。
- 「複雑さに挑む科学」柳井晴夫・岩坪秀一共著、講談社ブルーバックス、1976年発行
多変量解析について一般向けに書かれた、数少ない解説書のうちの1冊です。
一般人が多変量解析などという難解極まりないシロモノにお目にかかることはめったに有り得ないことなので、解説書が少ないのも致し方ないことでしょう。
難解なものを何とかやさしくやさしく説明しようとする筆者達の必死の苦労が偲ばれる、健気な本です。
- 「多変量解析」奥野忠一・芳賀敏郎他共著、日科技連、1971年発行、続:1976年発行
多変量解析全般についての理論的解説と実際例が豊富にのっていて、実務家にとってはありがたい本です。
正・続といっても一応は独立していて、続編は日科技連が作成した多変量解析プログラム・パッケージMAPの解説書にもなっています。
- 「線形数学」竹内啓著、培風館、1966年発行
統計学の特に多変量解析を理解するためには、ベクトルと行列――これらをまとめて線形数学と呼びます――の基本的知識は必要不可欠なものです。
まことに頭の痛い話ですが、この本の著者は専門が経済学なので、数学の専門家が書いたものよりもほんの少しですが難解ではなく(決して「わかりやすい」とは申しません)、統計学への応用を意識してあるので興味とヒマのある方は読んでみてください。
- 「解析概論(改訂第三版)」高木貞治著、岩波書店、1961年発行
著者は日本人初の世界的数学者であり、本書は微積分の教科書として名著の誉れ高いものです。
僕には概論というよりも詳細論に思えますが、解析学の基本事項を大観できるように書かれていて、解析学を心ざす人なら必ず一度は読むといわれる本です。
- 「数学小辞典」矢野健太郎編、共立出版、1968年発行
数学で用いられる各種の用語をコンパクトに解説した実用的な小辞典です。
数学の専門家ではない人が数学用語の概略的な意味を理解するのに便利なように編集されているので、新聞の科学記事に出てくる数学用語を調べたい時などに適しています。
また数学用語の原語も付記されていて、日本語だけでなく原語から引くこともできるので、英語の科学論文や科学記事を読まなければならないハメになった時などにも役立ちます。
- 「現代数学小事典」寺阪英考編、講談社ブルーバックス、1977年発行
高度に発達した複雑な現代数学の世界を概略的にまとめた小事典です。
数学にあまり馴染みのない人にとってはほとんど何のことやらワケがわからず、よく知っている人にとっては物足りないという、こういった類の本にありがちな普遍的欠点を持ってはいるものの、数学に多少なりとも興味を持っている人が現代数学を概観するにはけっこう適しています。
- 「数学をつくった人びと」E. T. ベル著、田中勇・銀林浩共訳、早川書房(ハヤカワ文庫)、2003年発行
著名な数学者の生涯と業績を人別に解説したロマンチックな人物伝です。
達者な筆運びと豊富なエピソードとで、どの人物の生涯も一編の短編小説のように興味深く読ませてくれます。
人物像を生き生きと描写するためには、あえて伝説的で不確実なエピソードをも取りあげる筆者の態度は数学界のロマン派と申せましょう。
- 「零の発見」吉田洋一著、岩波書店(岩波新書)、1956年発行
古代バビロニアから現代に至るまでの数学の歴史を興味深く解説していて、数学の副読本としてもよく取りあげられています。
随分前に書かれた古い本ですが、いつ読んでも新鮮な興味をかきたててくれるので数学嫌いの人にもお薦めできます。
(3) 科学一般
- 「科学論文の書き方(増補第31版)」田中義麿・田中潔共著、裳華房、1980年発行
科学論文という特殊な文章の書き方を、手取り足取り実に詳しく解説してくれます。
しっかりとした基本を知らないままに色々な論文を読んだり書いたりしていた僕としては、この本を読んだ時はまさに赤面の至りで、「文を書くことは恥をかくことに通じる」ということを改めて思い知らされた次第です。
科学研究者にとって必読の書と申せましょう。
- 「発想法」川喜田二郎著、中央公論(中公新書)、1967年発行
発想法という論理的思考法をKJ法として定式化し、野外科学や会議への応用を説いたロングセラーです。
企業における会議や経営戦略への応用という面ばかりがもてはやされてしまった観がありますが、本来は近代科学の方法論だけでは対応し切れない野外科学の方法論を確立することがKJ法の目的です。
生物学や地学の研究者にとって一度は読んでおきたい本です。
- 「アインシュタインの世界」L. インフェルト著、武谷三男・篠原正瑛共訳、講談社ブルーバックス、1975年発行
前半は相対性理論について筆者の個人的体験を交えてわかりやすく解説してあり、後半はアインシュタインの高弟であった筆者とアインシュタインとの交流を通して、高名な科学者の人間像を浮き彫りにしています。
小説家でもある筆者の筆力はすばらしく、物理学に興味のない人をも感動させずにはおかないでしょう。
- 「科学を名のった嘘と間違い」市場泰男訳編、社会思想社(現代教養文庫)、1975年発行
アーヴィン・アドラー「Monkey Business」、ダニエル・ヘリング「Foible and Fallacies of Science」、シャーウッド・テイラー「The Alchemists」の3冊から自由に章を訳出して編集したユニークな本です。
非科学的なことがいかにして科学の名において主張あるいは詐称され、信用されて、いかにして科学的に解明され否定されていったかということをケースヒストリー的にまとめた「非科学の科学史」です。
人間の素朴で素直な直感的自然観と近代自然科学との対比を通し、色々な迷信をはぐくみ育てる土壌となっているものがいかに人間生活の広範囲にわたって存在するのか、迷信がどれ程根深く滅びにくいものなのかをものの見事にえぐり出し、同時に現代科学の一面性と限界とに対する厳しい批評にもなっています。
- 「エピソード科学史」A. サトクリッフ、A. P. D. サトクリッフ共著、市場泰男訳、社会思想社(現代教養文庫)、全4巻1971〜1972年発行
科学の各分野における概念・法則・理論がどのようにして生まれ育ったのかということを、個々の事件や人物を通して解説したケースヒストリーです。
科学的事件や科学者について、今に伝わる言い伝えや伝説を現代科学に照して調べ、その虚構性や真実性を論証している部分などは非常に興味深いものの、全体として姉妹編に当る「科学を名のった嘘と間違い」にはおよばないように思います。
これはひとえに僕のヘソが曲っているせいで、本書が表から見た科学史であるのに対し、「科学を名のった嘘と間違い」が裏から見た科学史であるからです。
- 「新しい地球観」上田誠也著、岩波書店(岩波新書)、1971年発行
今世紀初頭、ウェゲナーによって唱えられた大陸移動説は一度は息絶えたものの、1960年代になって劇的な復活を遂げ、現在はプレート・テクトニクス理論として確立されるにいたっています。
大陸移動説の復活は地球物理学の革命とも呼ぶべき画期的な出来事であり、そのまっただ中に書かれた本書は生き生きとした臨場感にあふれ、自らも渦中にあって革命を目のあたりにした筆者の激しい興奮と熱意とがひしひしと伝わってきます。
そのワクワクするような知的興奮は問題をレディーメードなものとして扱う教科書的な科学解説書ではほとんど味わうことのできないものですが、実は不思議な謎とその解明という、科学が本来備えている本質的な魅力に他なりません。
- 「磁力と重力の発見 1・2・3」山本義隆著、みすず書房、2003年発行
西洋近代科学成立のキー概念になったと思われる磁力と重力に着目し、古代から近代までの西洋科学思想史を後ろ向きコホート研究的に論じることによって、占星術や錬金術や魔術といった現代から見れば非科学的に思えるものが、西洋近代科学成立に大きな役割を果たしたことを明らかにしたスゴイ本です。
「世界(宇宙)をまるごと理解し、自分なりに体系化する」ということを昔から夢想している僕は、本書を読んでその夢想の絶望的な無謀さと自分の無力さを思い知らされ、藤村操のように”萬有の真相は唯だ一言にして悉す、曰く「不可解」”と叫んで、発作的に華厳の滝に飛び込みたくなってしまいました。
(4) その他
- 「ゲーデル、エッシャー、バッハ」ダグラス・R・ホフスタッター著、野崎昭弘・はやしはじめ・柳瀬尚紀共訳、白揚社、1985年発行
とにかく「スゴイ!」の一言につきる本です。
現代数学の巨人ゲーデルの不完全性定理をメインテーマにし、コンピュータ・絵画・音楽・禅・生物学等ありとあらゆる分野にわたって、人間の知識と自己認識についての深く広範な考察がなされています。
特に各章の間に間奏曲として挿入されるアキレスと亀を主人公にした会話には二重三重のシャレと寓意が隠されており、作者が裏でほくそえんでいるのが目に見えるようです。
何しろブ厚く、内容が豊富すぎるので読むのに苦労しますが、ぜひとも一読を願いたい本です。
- 「Xの悲劇」、「Yの悲劇」エラリー・クイーン著、田村隆一訳、角川書店(角川文庫)、1961年発行
小説というジャンルの中で、推理小説ほど「ベスト……」をうんぬんするものは他にないでしょう。
推理小説のプロ・アマチュア、通・半可通に限らず、多少なりとも推理小説に興味を持っている人なら、自分なりのベスト3ぐらいは必ず決めているものですし、各種の人気投票やアンケートも盛んに行なわれています。
本書はそういった人気投票では常に上位にランクされる名作です。
緻密な構成と明快な論理性に勝れる「Xの悲劇」は、どちらかといえば合理的な欧米で好まれており、強烈な印象と名状しがたい余韻を残す「Yの悲劇」は、雰囲気を重んじる我が国で抜群の人気を誇っています。
私見をいわせていただければ、僕は、この後「Zの悲劇」、「ドルリー・レーン最後の事件」と続き、全体として起・承・転・結を構成している「ドルリー・レーン四部作」をひとつの作品とみなし、これこそ本格推理小説のベスト1であると考えています。
といいますのも、この四部作は本格推理小説の魅力を満喫させてくれる代表的作品であると同時に、その必然的な将来をも悲しく暗示しているように思えてならないからです。
- 「ABC殺人事件」アガサ・クリスティ著、堀田善衛訳、東京創元社(創元推理文庫)、1959年発行
お馴染み灰色の脳細胞を持つおしゃれな探偵、エルキュール・ポワロが登場するミステリーです。
クリスティ女史の作品としては今ひとつパンチに欠けるきらいがあり、特に傑作とは申せませんが、卓越した着想はさすがです。
- 「うる星やつら」高橋留美子著、小学館、全34巻1980〜1987年発行
ウーマンリブの風潮はマンガ界にもおよんでいて、昨今は男性マンガよりも女性マンガの方が活気に満ちており、萩尾望都、石坂啓、柴門ふみ等才能豊かな女性作家が次々と傑作を発表しています。
筆者の高橋女史もそのひとりであり、この作品はアニメにもなった彼女の出世作です。
アニメの方も押井守監督とベテラン声優陣にささえられてなかなか好調でした。
- 「マンガの描き方」手塚治虫著、光文社(カッパブックス)、1977年発行
マンガの神様手塚治虫氏は、医学博士という肩書きを持つ科学者でもあります。
本書はマンガ作法を論理的かつおもしろおかしく解説したもので、科学的と呼べるような物語作法理論をわかりやすく展開しています。
ヒューマニズムと科学的論理に裏打ちされた、反骨精神あふれる氏の作品の秘密を垣間見る思いがし、その魅力をあらためて納得させてくれます。
- 「新明解国語辞典」金田一京助他監修、三省堂、1972年発行
およそ国語辞典程頻繁に参考にされていながら、参考書の片隅にすら挙げられていないかわいそうな本はないでしょう。
辞書というものは案外面白いもので、色々な辞書の単語を引き比べて遊ぶ「辞書読み遊び」は、知的で高尚な遊びとしてお勧めできます。
使用する辞書は国語辞典の名作と呼び声の高い岩波の第三版や、比類なきユニークさで熱狂的なファンを持つ三省堂の新明解等が最適で、第三版の「男」の項は画期的であるとか、新明解の「合体」や「浮気」は傑作である、などといって喜ぶのです。
バッハを聴きながら、ブランデー片手に辞典を見て微笑んでいる人の姿は、はっきりいって凡人の理解の域をはるかに越えています。