11世紀頃、イギリスのコヴェントリ市にレオフリック伯という領主がいました。 彼は市民に重税を課して強引に取り立てたため、市民は非常に苦しんでいました。 そんな市民の苦しみを黙視できず、レオフリック伯の妻だったゴディヴァ夫人は税を軽くするよう夫に何度となく頼みました。 夫人があまりに熱心に頼むので、レオフリック伯は、何を血迷ったか「もしお前が全裸で馬に乗り、コヴェントリの市中を1回りできたなら願いを聞き入れよう」と提案しました。 当時のつつましい貴婦人にはそれは不可能に近いことでしたが、夫人は「公の幸福のために」あえてそれを決行することにしました。
これを知った市民達は、その当日、家の窓や戸を閉め、夫人の姿を見ないようにしました。 ところが、うらやましい、いや、けしからんことに、トムという男がただひとりだけこの暗黙の約束を破って夫人の姿を覗き見したのです。
その後の調査により、この「ゴディヴァ夫人全裸馬乗り事件」について4人の関係者の証言が集められました。 しかし4人ともひどく興奮していたので、お互いの証言の間には以下のように明らかな矛盾があります。
4人の証言のうちどれが真実でどれが間違いか、そしてその日の本当の出来事はどのようなものだったのか論理的に推理してください。
ただし4人の証言に含まれている真実の個数は、4人とも異なっていることが判明しています。
(→第7問へ)
4人の証言に含まれる真実の個数が4人とも異なっているということは、全ての証言が正しい人が1人いることになります。 そこで4人の証言を表にまとめ、ひとりの証言が全て正しいと仮定した時、その他の人の証言の中の正しいものを赤色の文字で表すと次のようになります。
証人 | 夫人の服装 | 馬の色 | 時間 |
---|---|---|---|
ゴディヴァ夫人 | 裸 | 白色 | 午後 |
レオフリック伯 | 服 | 白色 | 午前 |
メイド | 下着 | 黒色 | 午後 |
トム | 裸 | 茶色 | 午後 |
証人 | 夫人の服装 | 馬の色 | 時間 |
---|---|---|---|
ゴディヴァ夫人 | 裸 | 白色 | 午後 |
レオフリック伯 | 服 | 白色 | 午前 |
メイド | 下着 | 黒色 | 午後 |
トム | 裸 | 茶色 | 午後 |
証人 | 夫人の服装 | 馬の色 | 時間 |
---|---|---|---|
ゴディヴァ夫人 | 裸 | 白色 | 午後 |
レオフリック伯 | 服 | 白色 | 午前 |
メイド | 下着 | 黒色 | 午後 |
トム | 裸 | 茶色 | 午後 |
証人 | 夫人の服装 | 馬の色 | 時間 |
---|---|---|---|
ゴディヴァ夫人 | 裸 | 白色 | 午後 |
レオフリック伯 | 服 | 白色 | 午前 |
メイド | 下着 | 黒色 | 午後 |
トム | 裸 | 茶色 | 午後 |
以上の表から、4人の証言に含まれる真実の個数が全て異なるのは、トムの証言が全て正しい時だけであることがわかります。 したがってその日の出来事は、トムの証言通りだったことになります。