1676. ある地方議員後援会の理想と現実−29 とものり [URL]  2004/12/30 (木) 18:55
 区長2期目が終わる頃、改革派の人達から、改革を完了して新しい運営方法が軌道に乗るまでは区長を続けて欲しいと要望され、僕もせっかく乗りかかった船ですからそうしようかと思っていました。

 ところがうすうす予想していたように、どこの馬の骨とも知れない若造がしゃしゃり出て来て、自治会やコミュニティ推進協議会を我が物顔で引っかき回すことを快く思っていない人達がやはり存在し、僕に対する風当たりがだんだんと強くなってきました。

 僕自身はこの土地に何のシガラミもなく、しかもけっこう厚顔無恥なので(^^;)、誰に何を言われようと全く気になりません。しかし僕に対する反感を改革案に対する反対意見にすり替え、改革案に対して感情的に反対する雰囲気が一部の人達に出てきたのには少々困りました。

 僕が目指したものは自治会の形式的な改革というよりも自治会に対する住民意識の改革であり、改革派も反対派も無関心派もみんな一緒になって自治会のあるべき姿を考えるような機運を作ることなのです。

 このため僕がこれ以上でしゃばるとかえってうまくいかないかもしれないと考え、3期目は区長をやらず、自治会に事務局という新たな役を作って自らそこに納まり、自治会の表舞台から身を引くことにしました。つまり自分は表に出ずに黒幕として裏から改革を進めようという、いかにも悪徳窓際幽霊社員らしい悪巧みをしたわけです。(^^;)

 また僕が自治会関係の書類を全てコンピュータ化してしまったので、コンピュータの扱いに慣れた人が役員の中にいないと書類を整備することができなくなり、役員の平均年齢から考えておそらくしばらくの間はそんな役員はおらず、僕がフォローする必要があるだろうという事情もありました。

 こうしてその後の2年間は、役員を補佐するという名目で役員に改革の継続を押し付けるという、役員になった人にとってはありがた迷惑な事務局を続けました。(^^;)

                            とものり



1675. ある地方議員後援会の理想と現実−28 とものり [URL]  2004/12/28 (火) 13:00
 要するにコミュニティ推進協議会の方は運営方法の形式的な改革を主目的としたのに対して、自治会の方は運営方法の改革を手段にして、自治会に対する住民の意識そのものを改革することを主目的にしたのです。

 自治会に対する住民意識が変わらなければ、いくら運営方法を形式的に改革しても効果は少ないだろうし、住民意識が変われば運営方法は自然と良い方向に変わるだろうと、我ながら気恥ずかしくなるほど理想主義的で、同時に住民にとっては余計なお節介(^^;)をすることにしたわけです。

 残念ながらこの理想主義的な目論みは見事にはずれ、自治会の運営方法の形式的な改革はある程度進みましたが、住民の意識改革はほとんどできませんでした。これは事前に十分予想したことで、無理と余計なお節介を承知でドン・キホーテ的に取り組んだことですので致し方ないところでしょう。(+_+)

 今になってみると、僕自身は唯我独尊でゴーイング・マイウェイでマイペースを信条にしていて、会社などではその信条どおりに行動しているのに、自治会のことでは他人の意識改革を目指すというような余計なお節介をしてしまう気になったのは、自分でも不思議な気がします。

 あるいは、会社などであまりにも唯我独尊でゴーイング・マイウェイでマイペースすぎることに対する、無意識のうちの代償行為かもしれません。(^^;)

                            とものり



1674. ある地方議員後援会の理想と現実−27 とものり [URL]  2004/12/28 (火) 12:59
 さて、区長と区長会長をやっていた2年間で自治会の改革は半分ほど進み、コミュニティ推進協議会の改革は8割ほど進みました。

 自治会よりもコミュニティ推進協議会の方が改革が進んだのは、こちらは各地区の自治会役員と各種団体の役員だけが納得すれば改革できるのにひきかえ、自治会は住民一人一人が納得しなければ改革できないからです。

 また住民にとってはコミュニティ推進協議会よりも自治会の方が身近で自分達の生活に及ぼす影響が大きいため、より真剣になり、個人の主張と主張、エゴとエゴがぶつかり合うことが増えるからでもあります。

 僕にとってもコミュニティ推進協議会の方が気が楽で、半分ほどは相手をペテンにかけるような手練手管を使ってかなり強引に改革を推し進めました。(^^;)

 しかし自治会ではそのような強引な方法は使わず、住民一人一人が自分のこととして本気で問題意識を持ち、自らの意思で自治会の改革に参画し、自らの頭で自治会のあるべき姿を考えてくれることを期待してじっくりと改革を進めました。

                            とものり



1673. ある地方議員後援会の理想と現実−26 とものり [URL]  2004/12/26 (日) 15:13
 僕が区長会長をしていた時、隣の地区の区長が元警察官で、しかも主に選挙違反関係の仕事をしていた人でした。この人からも色々と面白い裏話を聞かせてもらいました。

 その人によると、自民党の二台巨頭が熾烈な勢力争いを繰り広げているせいで、海部郡は選挙違反が全国でもトップクラスに多い地区としてその筋では有名だそうです。(^^;)

 例えば、以前は選挙になると各地区の運動員が交代で「張り番」をしていたそうです。これは夜間に地区の辻ごとに見張り番を立て、自分達の地区に地区以外の立候補者が戸別訪問にやってこられないようにするというものです。

 戸別訪問は当然、選挙違反ですが、この土地では戸別訪問や物品の授受は当たり前のように行われていて、地区の立候補者以外の立候補者が戸別訪問できないようにするために張り番を立てたのです。

 もちろん、張り番の目をかいくぐって戸別訪問をしようとする立候補者もけっこういて、どの地区でも張り番と別の地区の運動員の間でかなり激しい攻防が行われたそうです。

 最近はさすがにおおっぴらにはやらないそうですが、僕がこの土地に引っ越してきた頃はまだ盛んに行われていて、選挙期間中にたまたま夜遅く帰宅した時など、家の近くの辻におかしな人達がたむろしているので不思議に思ったものです。

 戸別訪問の方は今でも盛んに行われていて、物品の授受も決して珍しいことではありません。そしてそれがあまりにおおっぴらに当たり前に行われているので、それを選挙違反とは思っていない人がけっこういたりします。(^^;)

 実際、昔から選挙運動をやっている例の団体の幹部の人達などは、立候補者が地区の住民ひとりひとりに立候補の挨拶をするのは当然であり、戸別訪問が選挙違反になるという法律の方が間違っていると堂々と主張しています。

 今年、僕も実際に選挙運動をやってみて、確かに公職選挙法には矛盾点が多々あり、それには政治的な裏駆け引きが大きく影響しているらしいことに気づきました。

 しかし公選法が間違っていると主張する人達の意見に同意しながらも、世間一般の常識とか良識からかけ離れたその人達の世界独特の常識は、僕のような人間にはどうしても馴染めない種類のものであることがわかり、その人達と付き合えば付き合うほど違和感がつのっていきました。(~.~)

                            とものり



1672. ある地方議員後援会の理想と現実−25 とものり [URL]  2004/12/24 (金) 15:02
 この政治団体はあくまでも地元の利権を守るための政治団体であり、ある意味で思想や党派を超越しています。

 元々この土地は兼業農家が多く、兼業先として国鉄や鉄鋼関係に勤めていた人が多かったせいで、農業協同組合関係者と鉄道の労働組合関係者が中心になって政治活動を行っていました。そしてその人達が作った組織がこの団体の前身のひとつです。

 そのため町の他の土地が自民党寄りだったのにひきかえこの土地だけは社会党寄りで、この団体の前身の組織も社会党系の政治家の支援活動を行っていましたし、地元の町会議員も最初のうちは社会党に所属していました。

 ところが町長を始めとして町の主要な政治中枢は全て自民党寄りのため、地元の利権を守るのが難しくなり、途中でやむなく自民党寄りに鞍替えし、地元の自民党寄りの組織と一緒になってこの団体になりました。

 その鞍替えを決定したのは二十数年前の、総選挙の2週間ほど前だったそうです。それまで社会党系の立候補者を応援していたのが、いきなり手の平を返したように自民党系の立候補者を応援し始めたのですから、選挙の運動員も地元の住民もやたらと混乱したそうです。(^^;)

 また知る人ぞ知る、海部郡は自民党の二台巨頭の地盤で、以前からその二人が熾烈な勢力争いを繰り広げています。そのせいで僕の町でも自民党系の2つの派閥が勢力争いをしていて、十年程前に町長が元町長派から現町長派の人に替わりました。

 そしてこの団体は元町長の時には元町長派でしたが、町長が替わると当然のごとく現町長を支援し、現町長派に鞍替えしました。

 この団体の幹部の人達は昔から活動している人が多く、そういった修羅場を何度も経験してきているので、危なくてとてもここには書けないような面白い裏話を色々と聞かせてもらいました。(^_-)

                            とものり



1671. ある地方議員後援会の理想と現実−24 とものり [URL]  2004/12/24 (金) 15:01
 伊勢神宮参拝バス旅行の次は、地元の特殊な政治団体の新年会があります。

 この政治団体は地元小学校区の農家が中心になって組織している団体で、ある時は県会議員の支援団体になり、ある時は町長の支援団体になり、ある時は町会議員の支援団体になり、ある時は地元の利権を守るための圧力団体にもなるというかなり特殊な政治団体です。

 小学校区の公の団体としては、区長連合と自治会連合と各種任意団体などで構成する小学校区コミュニティ推進協議会があります。しかしそれはあくまでも住民の親睦のための表の団体であり、政治的な裏の活動はその団体が中心になって行っています。そしてその団体の各地区の役員は自治会役員を兼任していたり、自治会役員経験者であったりすることが多く、コミュニティ推進協議会を凌駕するほどの強い組織力と政治力を持っています。

 僕は、1年目の区長の時は町会議員に誘われて飛び入り的にこの団体の新年会に参加し、2年目の区長会長の時は来賓として招かれ、県会議員、町長、町会議員と並んで雛壇に座らされ来賓の挨拶をさせられました。(^^;)

                            とものり



1670. ある地方議員後援会の理想と現実−23 とものり [URL]  2004/12/22 (水) 12:37
 年始回りが終わると、次は町長の後援会が主催する伊勢神宮参拝バス旅行があります。これは各地区の後援会会員を中心にして参加者を募り、貸し切りバスを何台も仕立てて伊勢神宮に初詣でに行くという新年恒例の行事です。

 後援会が主催する親睦行事ですから、当然、会費を集めます。しかしこういった後援会主催行事の会費は本当の実費の半額程度というのが相場で、残りの半額は後援会会計の補助金で賄うという建前で、その実、政治家の懐から出ます。(^^;)

 お伊勢参りとは、いかにも農家と老人が多い我が町らしい行事です。これが県会議員の後援会が主催する親睦旅行になりますと北海道旅行とか沖縄旅行などになり、数年前の何周年かを記念した親睦旅行はハワイ旅行だったそうです。

 こういった旅行に実費の半額程度の会費で行けるのですから、喜んで参加する人も中にはいます。しかしたいていは町長や県会議員に対する義理と、参加者数で他の地区に負けたら恥ずかしいという地区の見栄のために参加する人が大半です。

 またこういった後援会の旅行に沢山の人が参加した地区の申請から優先的に許可されるとか、その地区に道路を通してもらえるという噂があり、中には「今年はウチに道路を通してもらわにゃならんから、参加者をバス3台分も集めたわい!」とか、「去年、苦労してバス3台分の参加者を集めた甲斐あって、やっと住宅の側溝を作ってもらえたわい!」などとおおっぴらに吹聴する地区役員もいます。

 しかしさすがにバスの台数だけで申請の許否が決まるというほど政治は単純ではなく、そういった後援会活動を始めとする色々な活動を通して、いかに政治家の権力保持や権力拡大に貢献したかという高度に政治的な判断(^^;)が申請の許否に大きく影響するようです。

 事実、「いつも吼えてばかりいたり噛みついたりする犬に、何の義理で餌をやらにゃならん。やっぱり、尻尾を振ってなついてくる犬に餌をやりたくなるのが人情だわなぁ」と、堂々と公言して憚らない政治家もいます。(僕自身が、ある政治家から面と向かってそう言われました。σ(~~;))

                            とものり



1669. ある地方議員後援会の理想と現実−22 とものり [URL]  2004/12/20 (月) 11:26
 こういった年始祝いでは、町長宅でも町会議員宅でも大勢の訪問客の世話をする家族の人達の苦労は並大抵ではありません。

 僕が知り合った地方政治家には尊敬すべき立派な人からとんでもなくあくどい人まで色々な人がいましたが、家族はほとんどがごく普通の人達でした。そしてたいていはできるだけ早く引退して欲しい、次の選挙には立候補しないで欲しい、家族と一緒に静かにゆっくりすごして欲しいと願っていて、政治家の体調のことを心配している人も沢山いました。

 実際、早朝から深夜までのべつまくなしに訪問客があり、公私の区別なく色々な相談を受け、家族や友人を否応なく巻き込んで権力闘争に明け暮れる政治家という稼業は本当に因果な稼業です。崇高な使命感や強欲な権力欲にかられた政治家本人は仕方ないとして、それに巻き込まれる家族は大変です。

 今年の2月の町会議員選挙が無事に終わった後、ついに引退することになった元町会議員の奥さんが、当選祝いに沸き立つ人達を眺めながら選挙事務所の片隅でひとりたたずんでいたので、「これでようやく安心して引退できますね、長い間ご苦労様でした」と声をかけると、「ほんと、これでようやっと肩の荷を下ろして、普通の百姓のおじさんとおばさんに戻れるわなぁ……」と心底ほっとしたように微笑みました。

 今回の選挙で一番喜んだ人は間違いなく元町会議員の家族の人達であり、一番苦労した人は、これも間違いなく当選した町会議員の家族の人達でしょう。

                            とものり



1668. ある地方議員後援会の理想と現実−21 とものり [URL]  2004/12/20 (月) 11:26
 町長宅への年始回りも大体似たような内容ですが、こちらは訪問客が町内の人間だけで、しかもほとんどが顔見知りですから比較的和気あいあいとした雰囲気です。

 訪問客をさばくのは町長の家族と後援会の幹部で、黒服の秘書も屈強なボディガードもいません。(^^;) また大物政治家の事務所では帰りに暖かい缶コーヒーをもらうだけでしたが、町長宅にはお屠蘇と御節料理が用意してあります。そして訪問客がある程度の人数になると町長が短い挨拶をし、後援会会長の音頭で乾杯した後、お屠蘇と御節料理をいただきながら町長や顔見知りと挨拶を交わし合います。

 各地区の町会議員宅でも、だいたい似たような内容の年始祝いが行われます。そして縄張りが狭くなればなるほど訪問客も少なくしかも身内ばかりになり、家族的で普通の年始祝いに近くなります。

 いってみれば大物政治家の事務所への年始回りが広域暴力団○○組系の大親分への接見の儀といった感じなのに対し、こちらは○○組系傍流××組が身内だけで行う年始祝いといった感じです。(^^;)

                            とものり



1667. ある地方議員後援会の理想と現実−20 とものり [URL]  2004/12/18 (土) 11:27
 事務所に入ると正面中央に腰掛があり、そこに例の大物政治家が座っていて、隣に県会議員が立っています。その両脇には屈強な男達がボディガードのように立って周囲に目を光らせ、その前には接見順を待つ大勢の訪問客が長い列を作って並んでいます。

 接見そのものはほんの一言二言挨拶を交わすだけですぐ終わり、本当にあっけないものです。しかし来客帳に記帳しますので、どこの誰が挨拶に来て誰が来なかったかはちゃんとチェックできるようになっていますし、その大物政治家は訪問客をいちいち覚えていて、頭の中のエンマ帳にしっかり書き込んでいるそうです。

 これは親分にとっては子分の忠誠心を確認し、自分の縄張りを確認するための大切な儀式であり、子分にとっては親分に忠誠心を示すための大切な儀式です。このため挨拶回りは重要かつ名誉な役目とされていて、どの地区でも町会議員とか後援会役員とか自治会役員といった地区を代表する重要人物(と自分で思っている人(^^;))が務めます。

 そしてその地区代表者達が地区に帰って来ると、今度はその人達のところにその他モロモロの人達が挨拶回りにやって来て、小親分のご機嫌伺いをすると同時に大親分のご様子をお聞きするという、見事に封建的な構造になっているのです。(^^;)

 そういった光景を眺めながら、サラリーマンの世界であろうと医者の世界であろうと政治家の世界であろうとヤクザの世界であろうと、とにかくどこの世界でも日本人という種族は今も昔もまるで変わらないもんだと、つくづく嘆息してしまいました。(-o-)

                            とものり



1666. ある地方議員後援会の理想と現実−19 とものり [URL]  2004/12/18 (土) 11:27
 また正月には、各地区の役員などが町長を始めとする有力政治家のところに年始回りに行きます。その大物政治家と県会議員は自民党愛知県支部の幹部で、正月には党の海部郡支部事務所にいますので、僕も地区の町会議員や長老達と一緒に事務所に年始回りに行きました。

 唯我独尊で天邪鬼な僕はそういった風習が嫌いで、個人的に年始回りをしたことは一度もなく、仕事で得意先の年始回りをすることさえなるべく避けています。しかしこの時は仕事と割り切っていたので、抵抗はあまりありませんでした。

 その事務所には正月の早朝から正装した人達がゾロゾロと詰めかけ、堅苦しく挨拶を交わし合っていました。事務所の前には来客帳が何冊も揃えてあり、訪問客はそこで氏名と住所を記帳してから事務所に入ります。そしてその周囲には秘書らしき人が何人もいて、訪問客をさばいています。

 その人達も訪問客も全員が黒い礼服を着ているので、その様子はまるで葬式の受付のようで、実に壮観というか滑稽というか、そういったことに価値を全く見い出せない僕のような人間にはとにかく笑える光景でした。(^^;)

                            とものり



1665. ある地方議員後援会の理想と現実−18 とものり [URL]  2004/12/16 (木) 16:01
 政治家が親分子分の関係であることは何となく知っていましたが、実際に政治家と付き合ってみてあらためてそれを実感しました。

 例えば、地方政界の黒幕的な政治家の家を訪問した時のことです。まず来客専用の待合室に通され、そこで順番待ちをしました。政治家は来客が多いので、たいてい自宅に専用の応接室があります。そして大物政治家になりますと、来客がひっきりなしに来るので謁見の間と待合の間が分かれているのです。(^^;)

 その待合室には若い男の秘書が控えていて、来客者を効率良くさばいていました。仕事柄、医学部の大学教授を訪問したことが何度もありますので、僕はそういったことにはある程度慣れているつもりでした。

 しかしそこは事務所ではなく自宅であり、その秘書がまるで昔の書生のような風情だったので、まさに住み込みの弟子か子分という感じで、仕事で知っている医学世界の秘書とはかなり違っていました。

 実際、その政治家の弟子である県会議員は若い頃に住み込みの鞄持ちから始め、秘書を経て県会議員になったので、その政治家のことを「オヤジさん」と呼んで慕っていました。

 その麗しき師弟関係は確かに日本の伝統的な師弟関係そのものですが、何しろ役者が役者で、やっていることがやっていることですから、師匠と弟子の関係というよりも親分と子分の関係そのものです。(^^;)

                            とものり



1664. ある地方議員後援会の理想と現実−17 とものり [URL]  2004/12/14 (火) 11:20
 そもそも区長は地区の住民全部の代表で、建前上は不偏不党であるべきですから、僕のそういった八方美人的な行動は、本来、誰はばかるものではありません。

 能天気で単純な僕は誰の意見であろうともっともだと思えば賛成し、おかしいと思えば反対します。それはその意見を述べた人の背景因子(その人を特徴づける性、年齢、肩書き、派閥といったモロモロの要因。某業界の業界用語。(^^;))とは関係なく、あくまでも意見の内容そのもので決めるべきだと思いますし、同じ人が出した意見でもある意見には賛成し、別の意見には反対することがあるのは当然だと思っています。

 そして区長たるものできるだけ多くの人の意見を聞き、地区住民の考えと地区の状況や地区を取り巻く周囲の状況をできる限り広く把握しておくべきですので、色々な人達や色々な派閥の政治家と平等に付き合い、情報収集に努めるのは当然の行動と思っていました。

 しかし区長と違って議員などの政治家は基本的に親分子分の関係で、子分はたとえ内心不満があっても親分の意見に全面的に従い、たとえ内心は反対でも派閥が決めたことには全面的に従います。

 これは会社などの組織でも同様で、そのように統率されていなければ組織を維持することはできず、組織力を発揮することができないのである程度当然のことでしょう。(とはいうものの、天邪鬼で唯我独尊な僕は組織が持つそういった非人間的な臭いが大嫌いなんですけどね。(~.~))

 また地家の人達が昔から営んできた農村は運命共同体的な色合いが濃く、「村八分」という言葉に象徴されるように、やはり基本的に組織として行動することが重要になります。

 このためそういった人達の目には僕の行動は道義に反するように見えるだろうと考え、わざわざ波風を立てることもないので、そういった八方美人的な行動のことを人には話しませんでした。

                            とものり



1662. ある地方議員後援会の理想と現実−16 とものり [URL]  2004/12/12 (日) 13:36
 実際、町会議員の多くが区長を経て町会議員になっていて、自分から区長会長までやろうというような人はたいてい後に町会議員に立候補したそうですから、僕が周囲からそう思われてしまったのも無理からぬことです。

 それどころか、町会議員選挙から2年後に町長選挙があったのですが、その時には僕が町長選に立候補するというとんでもない噂まで飛び交っていたようです。知人からその噂の真偽を尋ねられた僕とカミさんは、驚きを通り越して二人で大笑いしてしまいました。(^^;)

 区長の仕事にのめり込んでいた僕は、そんな噂を助長するかのように、他の地区の町会議員や町長はもちろんのこと県会議員や地方政界の黒幕的な政治家、さらにその後援会役員とも積極的に面談して情報収集に努めました。

 これはさすがに人には話しませんでしたが、地区の町会議員に連れられて現町長派の人達の会合に顔を出す一方で、その反対勢力である元町長派の人達の会合にも顔を出し、少数派である社民党の町会議員とも面識を深め、共産党議員団が主催する色々な勉強会にも参加しました。

 僕の地区の人達は律儀で真正直な人が多く、反対勢力の会合や共産党の会合に出るなどということは考えもしないため、僕がそのように色々な派閥の人達と付き合っていることはどちらの人達にも知られていませんでした。このため、色々な派閥の人から仲間と思われたようです。(^^;)

 例の落選した町会議員候補やその後援会の人達とももちろん付き合い、後援会の人達とはある程度意気投合しましたが、落選候補者当人からはかなり警戒され、噂の真偽について痛くもない腹を色々と探られました。しかしいちいち噂を否定するのが面倒だったことと、その人には次回の町会議員選挙に立候補して欲しくなかったので、それとなく牽制する意味であえて噂を肯定も否定もせずにおきました。

 このあたりの権謀術数と腹黒さは悪徳窓際幽霊社員の面目躍如たるところで、良からぬ噂が立つのも致し方ないと我ながら思いますね。(^^)ゞ

                            とものり



1661. ある地方議員後援会の理想と現実−15 とものり [URL]  2004/12/10 (金) 09:50
 ともあれ改革派の人達が練り上げた自治会の改革案に感銘を受け、その人達と大いに意気投合した僕は意を強くして自治会の改革を推し進めることにしました。ただし土地柄に合った昔ながらの運営方法の利点もある程度理解できたので、反対派の人達も巻き込み、両方の意見を取り入れて折衷案的な改革方針を検討することにしました。

 無関心派から180度転向した僕は、改革派の人達にも反対派の人達にも心情的なシンパシィを感じて、できればどちらもが納得できるような道を見つけたかったのです。

 またそういった人達以外にも、誰も引き受けたがらない面倒な役目や損な役を黙って引き受け、必要な時以外は決して目立とうとせず、世のため人のために黙々と努力している尊敬すべき人達がいることを知り、この町に長年住んでいながら、町の状況もそこに住む人達も全く見ようとしていなかったことを大いに反省しました。

 そういった人達の中で、幸運にも人生の師と呼べるような二人の人と知り合うことができました。その人達から自治会関係だけでなく色々なことについて教えを受け、すっかり心酔してしまった僕は区長の仕事にますますのめり込みました。

 そのうちに、自治会の改革をするには1年間ではとても無理だということがわかってきたので、乗りかかった船とばかりに、1年でお役御免のところをわざわざ自分から立候補して次の年も区長を続けることにしました。また行きがけの駄賃に、やはり前時代的な運営をしていた小学校区区長連合とコミュニティ推進協議会の改革もしようと決意し、2年目は区長会長兼コミュニティ推進協議会会長も務めることにしました。

 僕の地区は全体を5つの組に小区分していて、組ごとに役員を持ち回る年番制が慣習になっているため、それまでは2期続けて役員を務めた人はいませんでした。その慣習を無理矢理覆してまで区長を続け、しかもめったやたらと忙しくて誰もやりたがらない区長会長までやろうというのですから、よっぽどの物好きか、何か悪しき野心を抱いているかのどちらかだと思われたのも無理はありません。

 個人的に親しくなった人達は、僕がよっぽどの物好きであることを徐々に理解し始めていましたが、大半の人達は僕が野心を抱いている、つまりは現町会議員の後釜として次期町会議員の座を狙っていると思ってしまったようです。(^^;)

                            とものり



1660. ある地方議員後援会の理想と現実−14 とものり [URL]  2004/12/08 (水) 12:01
 幸いなことに、僕と同じようなことを考えて自治会の近代化に取り組んできた人達が少数ながら存在しました。その人達はほとんどが役員経験者で、自分達の経験に基づいて練り上げた見事な改革案を持っていました。そして役員が替わるたびにその改革案を新役員に提示して、できれば内容を検討して欲しいと依頼していたのです。

 しかしほとんどの人が初めて役員を務める初心者であり、やたらと多い年中行事と雑務をこなすだけで精一杯なので、その改革案をまともに検討しようという物好きは、その人達が役員だった時から僕までの十数年間は誰もいなかったようです。

 意外にもその改革案を考えた人達の顔ぶれは、他の土地から移住してきた人達と地家の人達がほぼ同数でした。そしてその改革案に反対していて、ひたすら因習的で頑迷に思えた反対派の地家の人達が、実は真剣に地区のことを考えていて、従来の運営方法がこの土地に一番合っていると信じるからこそ改革案に反対しているのであって、従来の運営方法にも歴史的な経緯に基づいたそれなりの合理性があることがわかってきました。

 移住してきた人達の中には改革案の賛成派も反対派もいましたが、大多数の人達は無関心派でした。その人達は自分の生活に影響が及ばない限りは何事にも無関心で、自分の生活に影響が及ぶことについては、町や地区の現状を知ろうともせず自分の都合だけで我がままを言いまくり、役員や委員などの面倒な役目は引き受けずひたすら逃げまくります。

 典型的な無関心派だった僕(^^;)は、「改革派である移住して来た人達対反対派である因習的な地家の人達」という図式とばかり思い込んでいました。しかし区長をやり始めて、実はそうではなく、地家の人達のほぼ全部と移住してきた人達のごく一部が真剣に地区の活動に取り組んでいて、その人達の中に改革派と反対派がいること、そして移住してきた人達の大部分は無関心派であることがだんだんとわかってきました。

 地家の人達が自分達の地区のことに真剣になるのは、よく考えれば当然であり、他の土地から移住してきた人達や一時的に住んでいる人達が地区のことに無関心なのも、ある程度当然なことです。

 それを知った僕は地区の人達に対する見方が180度ひっくり返り、自分の無知と偏見を大いに反省しました。(++;)

                            とものり



1659. ある地方議員後援会の理想と現実−13 とものり [URL]  2004/12/06 (月) 13:39
 さて、区長をやり始めてすぐに、自治会の運営方法がかなり前時代的なことに気づきました。

 何しろ前役員から引き継いだ自治会関係の書類の中に、会計簿はあっても規約らしきものはなく、運営方法は以心伝心的な口伝えのため役員によってやり方がバラバラでした。そもそも、自分たちが運営しているのは地区の自治会だという自覚が住民の間にほとんどありません。(^^;)

 その自覚のなさは昔からの地家の人達ほど顕著で、大昔、この地区が村だった頃の名残か区長のことを村長のように考え、自治会費のことを「区費」と呼んでまるで税金のように考えています。

 しかし僕の地区はそれでもまだましな方で、他の地区では規約はおろか会計簿もないところが多く、意識の高い役員が規約を作ろうとしたところ、「そんなおかしなものを作ると、それを悪用するやつが出てくるからいかん。そんな紙切れがなくてもこれまでうまくやってきたんだから、このままでいいんだ!」という意見が大半で、規約を作れなかったという地区(実は僕の隣の地区です(^^;))さえあります。

 僕の地区は昔からの地家の農家が約40軒あり、残りの760軒は全て他の地区から移住してきた人か、一時的に住んでいるアパートの住人です。以前は自治会の役員は全て地家の人が務めてきましたが、最近は僕のように他の地区から移住してきた人が役員を務めることが増えてきました。

 このため、このままのやり方ではいずれは自治会の運営に行き詰まり、どちらの人達にとっても良いことではないと思った僕は、自治会を近代的なものに改革することにしました。

 そしてこれが区長に立候補したことに次ぐ大きな間違いで、これによって僕はますます地方政治の深みにはまることになったのです。(^^;)

                            とものり



1658. Re^2: 初詣オフのお知らせ NEGI  2004/12/04 (土) 22:42
ねこまんまさんお久しぶり

> 為に、朝駆けで移動するので、名古屋には元旦のお昼くらいから
> 15時間くらいしかとどまっておりませんf^^;

をいをい、いつまでも若くないんだからあまり無茶しないようにね。^^;
お正月の高速はおっかないんだから。

>
> もし時間があれば元旦に初詣してみようかと思いますが、元旦
> では車は止められないですよね、やっぱり・・・

尾陽神社でしたら余裕で止められますよ。
神社の西に尾陽神社会館ってのがあります。
その南に駐車スペースがありますから、そこへ止めてください。

          NEGI



1657. Re: 初詣オフのお知らせ ねこまんま  2004/12/04 (土) 21:56
ねこまんまです。

> そこで、生きてるうちの神頼み、高齢チガウ恒例「初詣オフ」を決行いたします。

初詣オフですか。。行きたいなぁ。。一応年末年始は里帰り
しますが、何せペット(ウサギのぷーちゃん)がいる都合上
長期間家を空けられず、うちの実家に一泊、その次かみさん
ちの実家に一泊という強行軍。しかも渋滞に巻き込まれない
為に、朝駆けで移動するので、名古屋には元旦のお昼くらいから
15時間くらいしかとどまっておりませんf^^;

もし時間があれば元旦に初詣してみようかと思いますが、元旦
では車は止められないですよね、やっぱり・・・



1656. Re: 白黒ミサでもするかな?(笑) とものり [URL]  2004/12/03 (金) 13:00
>キャプテン

 キャプテン、久しぶり!(^o^)/

>>お引越しメール、ありがとうございました。私のことなど、
>>忘れ去られているものだとばかり思っておりましたので、
>>たいへん、うれしゅうございました。(^3^)チュッヾ(^^)ォィォィ

 何しろメールアドレスをアドレス帳に控えてあった人に、まるでウィルスソフトのように片っ端からメールを出しまくりましたからね。(^^)v

 そのうち3割くらいは不達通知が返ってきました。携帯電話の番号とメールアドレスはやたらと変わるので、過去のシガラミを振り捨てるにはいいですが、久しぶりに昔馴染みに連絡するには不便ですよね。

 郵便局のように、移転後1年間ぐらいは、新しいアドレスに転送してくれるようなサービスがあるといいですね。もちろん、できれば無料で……。(^_-)

                            とものり



1655. Re: ご無沙汰 とものり [URL]  2004/12/03 (金) 12:59
>NEGIさん

>>管理人である私の独断でぜひお願いいたします。
>>相互リンクってことで宜しいですか?

 ぜひお願いします。m(..)m

 今、移転作業で忙しいので、リンクページに登録するのは移転後のリニューアルオープン時になると思いますので、そこんとこよろしくお願いします。

 初詣オフでは、危なくてとてもここにはアップできない地方政界の裏側と、サイト移転の裏話をこっそりお話しますよ。v(^_-)

                            とものり



1654. Re: おひさしぶりです! とものり [URL]  2004/12/03 (金) 11:20
>@^^@ちゃん

 やあ、お久しぶり!(^o^)/

>>3匹産まれまして、2匹は決まりそうなのですが、1匹が未だ、未定です。12月
>>1日に産まれたばっかりなのですが、もし、気になる!見てみたい!ってかたが見
>>えましたら、教えて下さい

 トイプードルの子供なら可愛いでしょうね。

 ウチの番犬のブンは今年の夏、老衰で大往生しました。ペットシックになるかと思いきや、意外とそうでもなく、朝夕の散歩から開放されてけっこう余裕ができたりしています。去る犬、日々に疎し……といった感じで、あの世のブンはさぞかし怒っているでしょうねぇ。(^^;)

>>最近は、子供も、すっかり怪獣から人間になりまして、伸びたラーメンや、残り物
>>処理の生活からも逃れ、自分の生活をかなりエンジョイしております@^^@

 ようやく子供に手がかからなくなりましたか。ウチの娘は二人とも家を出たので、せいせいして夫婦二人だけの生活を楽しんでますよ。どちらの娘もまだ売れ残ってますが(^^;)、親も子ものんびりしているせいか将来のことはあまり気にかけていません。

 まあ二人とも一人暮らしには慣れていて生活力だけはあるので、そのうち自分たちで何とかするでしょう。(^^;)

                            とものり



1653. Re: お久しぶりにきてみれば・・・ とものり [URL]  2004/12/03 (金) 11:18
>まりりんさん

 やあ、久しぶりですね!(^o^)/ 相変わらず世界を周っているようで、羨ましい限りですね。

>>でも皆さんも一緒ですよね。というか、一緒だと信じたい!笑

 大丈夫、いずこも同じ秋の夕暮れ……ですよ。(^^;)

 僕のような年齢になると、容姿よりも記憶力と生命力の衰えの方が切実な問題になりますね。カミさんと話をしていると、お互いに簡単な単語や物の名前をド忘れして、「何ていったかなぁ、アレだよアレ!(*o*)」と、「コレ・ソレ・アレ・ドレ」のコソアド言葉ばかりの会話になりますよ。

 それから病気や怪我をしやすくなり、しかも回復がやたらと遅くなりました。今、高脂血症と頚椎間板ヘルニア(ギックリ腰の首版)で通院していて、春先にはこれに花粉症が加わります。

 ネット仲間は色々な年代の人がいるので、自分が若かりし頃のことを思い出したり、自分の老い先を予想したりして、なかなか人生勉強になりますね。(^^;)

 落ち着いたら、またここを覗きにきてくださいね。(^_-)

                            とものり



1652. 白黒ミサでもするかな?(笑) キャプテン  2004/12/03 (金) 10:23
みなたま、お久しブリです。<(_ _)>
お引越しメール、ありがとうございました。私のことなど、
忘れ去られているものだとばかり思っておりましたので、
たいへん、うれしゅうございました。(^3^)チュッヾ(^^)ォィォィ

&初詣オフのご案内、乙ですぅ。>直会奉行どの(^^;
あいかわらず、お元気そうで、なによりっす。(^^ヾ

でわ、私も近況を。。。
容姿は、衰えておりません。p(T^T)キッパリ! むしろパワーアップ
してるかな?(体重が(^^;) ま、あいかわらず食べてます。v(^o^)

ん?>@^^@ちゃん、おひさぁ〜。(^o^)/
トイプードルって、あ、あ、あの、トイプードルですよねぇ。w(゜o゜)w
って、ほかになにが?(笑) ん〜〜〜、欲しいけど、うちのマンション、
2匹までしか動物飼えなくて。。。5歳のコ−ギーと交換する?ヾ(^^)コレコレ
機会があったら、見せてくださいねぇ。(^人^)

初詣オフは、ただいま必死こいて根回し中。p(T^T)
また、経過報告いたします。んじゃ、ε=ε=ε=┏( ^.^)┛



1651. おお、お久 NEGI  2004/12/03 (金) 08:12
まりりん、@^^@ちゃんお久しぶりです。

お二人ともお元気そうでなによりです。

もし、お暇でしたらぜひ初詣オフにいらしてください。

        NEGI