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1982. Re[1981]:推測統計について 投稿者:杉本典夫 [URL] 投稿日:2024/09/02 (Mon) 10:27:55
>F.Y.Edgeworthさん

> 先日はありがとうございました.連続投稿となり恐縮ですが,以下の(1)から(8)は(数理統計学ではなく)伝統的な推測統計で利用される一部の手法の説明として適当でしょうか?(対象は学部程度の確率論の知識のある人)

数理統計学的立場なら適当ですが、伝統的な推測統計学的立場つまり研究現場で推測統計学を利用するための説明としては、ここまで数学的に厳密な説明は必要ないと思います。その理由は、研究現場では推測統計学はデータを要約するための道具のひとつにすぎないので、数学的な厳密さはあまり重要ではないからです。
そして現実問題として、現在の大部分の自然科学分野では、建前上は推測統計学を用いることになっていますが、実際にはたいていは記述統計学を用いることが多く、中心極限定理や確率論は必要ありません。その証拠に、これまで色々な論文に関与してきて、査読者から「データの正規性をチェックしたか?」などと指摘されたことは何度もありますが、「標本集団を母集団から無作為抽出したか?」という推測統計学の基本的な前提条件について指摘されたことは一度もありません。
無作為抽出していない標本集団には推測統計学は用いられず、記述統計学しか用いられません。そして研究現場の研究者はそのことを何となくわかっているので、一応、検定結果や推定結果を論文に記載しますが、実際に結果を考察する時にはそれらにあまり重きをおかず、平均値等の統計量を参考にします。
そのため検定や推定よりも、平均値や出現率や順位平均値等の統計量の特徴と、その科学的な意義の方が重要になります。数学的な厳密さにこだわると、ついついデータの正規性などにこだわり、科学的に不適切な統計量を採用してしまがちになります。それでは統計学を用いる意味がありません。
以上、参考になれば幸いです。