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1981. 推測統計について 投稿者:F.Y.Edgeworth 投稿日:2024/09/01 (Sun) 09:00:59
先日はありがとうございました.連続投稿となり恐縮ですが,以下の(1)から(8)は(数理統計学ではなく)伝統的な推測統計で利用される一部の手法の説明として適当でしょうか?(対象は学部程度の確率論の知識のある人)

(1)以下では,Rを実数全体の集合,Bをそのボレル集合体とし,すべての確率変数は確率空間(Ω,Σ,P)から可測空間(R,B)への可測写像,また,N(0,1)は標準正規分布とする.

(2)手法の利用者は,観測から得た長さがNの実数列x_{1},...,x_{N}(データと呼ばれる)が観測対象に依存した「平均μ(∈R)と正の分散をもつ独立同分布の確率変数列X_{1},X_{2},...」の最初のN項の観測に依存したω(∈Ω)に対する値の列であると仮定する.以下では,任意の正の整数nに対して列X_{1},...,X_{n}(標本と呼ばれる)の平均を\bar{X}_{n},標準偏差をS_{n}で表し,S_{n}>0と仮定する.

(3)古典的な中心極限定理,Slutskyの定理,大数の弱法則,連続写像定理,収束する確率変数列の和,積の性質により,(2)の確率変数列X_{1},X_{2},...と任意のc(∈R)について
\lim_{n\to\infty}P(|\bar{X}_{n}-μ|/(S_{n}/\sqrt{n})<c)=N(0,1)((-\infty,c])
が一様収束の意味で成り立つ.

(4)手法の利用者は,1に近いと考えたα(0<α<1)を設定し,N(0,1)((-\infty,c])=αの一意的に存在する解c(∈R)の値の小数表示を利用者が設定した位まで数表や計算機から求め,その表示の値を改めてcとおく.

(5)手法の利用者は,誤差の上界を設定せずに,(3)と(4)から,αをP(|\bar{X}_{N}-μ|/(S_{N}/\sqrt{N})<c)の近似値と考える.

(6)頻度論的解釈と(5)から,手法の利用者は,観測を無限に繰り返すとき,長さがNの実数列を得るごとに,その各項を|\bar{X}_{N}-μ|/(S_{N}/\sqrt{N})<cにおけるX_{1},...,X_{n}の各項に代入して得られる不等式のうち真であるものの相対度数はαに近づくと考える.

(7)手法の利用者は,(2)で得た実数列の各項を(6)のように代入して得られる不等式を利用者にとっては未知であるμについての条件と考え,それが定める集合を信頼係数αの母平均の信頼区間と呼び,この不等式に反するμについての条件を有意水準1-αで棄却される母平均の帰無仮説と呼ぶ.また,実務では,この不等式が真であるかのように扱うことがある.

(8)以上のうち,数学のみで構成できる対象,主張は(1)と(3)である.