黒田官兵衛、荒木村重等、実在の人物と実際の歴史的事件を背景にした時代小説の体裁を取りつつ、密室殺人事件、安楽椅子探偵、意外な犯人等々、推理小説の王道をしっかりと踏襲した傑作時代・推理小説です。
「羊たちの沈黙」(トマス・ハリス)のオマージュ・パロディまで盛り込んだ作者のマニアックな遊び心にもニヤリとさせられ、読み終えた後、上質な時代小説と上質な推理小説を同時に堪能したような陶酔感に浸ることができました。
本作が発表された時、興味を惹かれたので図書館で予約したのですが、話題作なので予約が一杯であり、10ヶ月ほどたってオーストラリア・ロングステイ中に図書館から連絡があり、泣く泣く予約を破棄するという経験を2年連続でやらかした後、文庫版が発売されたのでとうとう買ってしまいました。v(^_-)
お気に入りの推理作家、トニー・ケンリックのユーモア推理小説です。 ずっと以前に読みましたが、長らく絶版になっていたものが復刊されたので文庫本を買って再読しました。
リリアンを始めとするユニークで立ったキャラ、凝ったプロット、ユーモアとペーソス、スリル、アクションと、どれも水準以上のデキです。 惜しむらくは物語の後半でリリアンの活躍場面が減ってしまうことで、バイタリティあふれる彼女の活躍をもっと見たい気がします。
内容的にハリウッド向きのエンターテイメント作品なので、映画化すれば面白いものができると思うんですが、なぜか映画化されていないようです。 リリアン役として、子役の頃のジョディ・フォスターかテイタム・オニールあたりで映画化して欲しかったですねぇ。
太古の昔に絶滅してしまったはずの恐竜が現在も生き延びていて、人間の皮をかぶって人間になりすまし、密かに人類と共存しているという設定で、マーロウばりのこわもて恐竜私立探偵が活躍するとんでもないハードボイルド探偵小説です。
あまりにも突飛な設定からして物珍しさ狙いのキワモノと思うとこれがさにあらず、プロットもトリックもキャラクターもよく練られていて、泣かせるほど上質で完成度の高いハードボイルドになっています。 普通なら、平井和正のウルフガイシリーズのようにハードボイルド風のSFにするところを、あくまでもハードボイルドタッチを貫いて本格的な探偵小説に仕上げた作者の力技には脱帽です。m(..)m
探偵小説好きでSF好き、その上マンガも大好きな僕向きの、本当にあつらえてもらったような作品です。v(^_-)